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携帯ストラップの悪魔 その20.5
「……もう!」
 先の父と兄の惨状に、部屋に戻ったギンガの口から苛立ちの声が漏れていた。
 その感情のままにばふっと音を立てて、やや乱暴に布団の中に潜り込む。
 そのまま横になりながらしばらくは憮然とした表情を浮かべていたギンガだったが、それもほんの僅かの間の事。
 時間が経つにつれてゆっくりとだが表情は柔らかいそれへと変わっていっていた。
 さっきまでのが嘘だったかのように。


 『家族』全員が揃うのはいつぶりだろうかと思う。
 父は忙しい時こそ、家を空ける事があったがそれ以外では父は家にいてくれていた。
 でも兄は違った。
 管理局に勤め始めた時と比べれば格段に会う機会は減っていたし、相当忙しかったのか直接会うのは一年くらい間が空く事もしばしばあったぐらいだ。
 連絡も時々メールが届くくらいでそれ以外ではまったく無し。
 誕生日やイベント事の日も最近では帰ってこなくなって。スバルは随分と寂しがっていた。
 それは、私も――


 と。
 そこでギンガは唐突に思考を止めた。
 布団の外からでもわかるぐらいにギクリと身体を硬直させ、みるみるうちに顔は火がついたように赤くなっていく。
 自身が何を思っていたかに気付いたのだろう、ちがうちがう!と布団の中で悶え始めた。


 お、おちつけ私。
 私はもう13歳。もう大人、きっと、うん。
 だから別に……別に、寂しくなんかってだからちがうーーーー!?


 ……思考ループにはまりながら悶える事数分。
 何を思ったのかはギンガにしかわからないが布団から起き上がって何回か深呼吸すると落ち着いたのか、頬にうっすらと赤味は残るものの元に戻ったようだった。
 そして一度深く息を吐き、再び布団に潜ろうとしたその時。
 ふと、何気なく向けた視線がちょうど自分の机を捉えた。
 それはギンガにとって本当に無意識の事。
 しかし何を思ったのか、ゆっくりと立ち上がるとおもむろに歩きだした。
 夜のひんやりとした空気に肌を震わせるも机に向かう足は止まらない。
 もともと大して無い距離。あっという間にギンガは机にたどり着いた。
 自然と伸ばした手は迷い無く右上の引き出しに掛かり、その中から長方形の箱を取り出す。
 優しい手つきで箱を開け、中身をそっと手に取る。
 自分の手に収まったそれを見て、ギンガは自分の頬がだらしなく緩むのを抑え切れなかった。
 
 手にとったそれはシンプルながら少し洒落たネックレスだった。
 先日シュウが帰ってきた時に今まで碌に顔も出せなかったことに対する謝罪なのか、ギンガとスバルにプレゼントしたものだ。
 ……まあ少しお前らには早いかもしんないけどな、などという言葉がなければ最高だったのにとギンガはこっそり思っていたりしたのだが、いざ中身をみるとそんな気持ちは吹っ飛んでしまっていた。
 シュウがスバルに贈ったのは菱形の台座の中心にアイオライトが嵌まったもの。
 そしてギンガに贈ったのは同じ形状で、ただ中心にはアメジストが嵌まったもの。
 今までも誕生日などでプレゼントはもらったことはあったが、こういったものはこれが初めてだった。
 だからというか、なんというか。
 素直に喜びを表すスバルの横で、ギンガもまた嬉しそうに微笑んでいた。
 
 ギンガは手にとったそれを両手で優しく包み込み、抱きしめるように胸元に引き寄せる。
 




 きっと兄は知らないのだろう。もしくはうろ覚えの知識だったのだろう。
 
 確かにアメジストは魔除けの力を持っている。
 
 だけど他にもあるのだ。
 
 アメジストに籠められている、大切な力が。
 
 それを知ったから、私にとってこれは本当の意味で宝物になったのだ。

 抱き寄せたネックレスに、アメジストに、私は願う。

 今はまだ胸に秘めたままのこの淡い想いを。

 壊れそうにまで儚いこの想いを。

 これが恋なのかどうかはまだわからないけれど。どうか――

 

 暖かに私を包み込むこの想いを、守ってください――

















アメジスト:真実の愛を守りぬく、絆を深める、不安を取り除き安らぎを与える
アイオライト:目標に向かっての前進を促し、歩むべき正しい方向に導く

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COMMENT


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No.75 No subject
ギンガフラグON!
我はこれよりこのフラグが折れないように援護に徹する!
そしてこれも撒いておこう。

つフェイトフラグ
つなのはフラグ

大きく育て! 大きく育て!
そして目指すはハーレムだ(ぇ
2008/12/12(Fri) | 量産化の☆ | URL | Edit | top▲
No.76 No subject
あー、13才でしたか。
本編見ていないから、年の差がよくわかっていなかったですわ。
年齢記載した年表欲しいかも(ニヤソ)
え? 別に本編との齟齬を白日の下に晒そうなんてオモッテイマセンヨ?

もう、シュウ、ダブルスコア内にもらっちまえYO。もらわれちまえYO。
周囲が全力で後ろ指刺すと思うけど、具体的には渾身の魔砲で。

にしても、いつもどおりにフラクラしているというのに、それ以上のフラグを立ててますな。
こいつは手ごわいぜ。いくらシュウでもそう簡単には折れないつぶせない。
むしろ作者とパルがなくさせない。

それでは、また広告が出ないうちに(マテヤコラ)
2008/12/12(Fri) | カワウソ | URL | Edit | top▲