2008.03.14.Fri
――向かい合う。
両の拳を握りしめ、肩幅ぐらいに足を開き、安定させるために、なにより数秒後に全身のバネを爆発させるために深く深く腰を下げる。
重心は低く。それはあたかも獲物を狩る獣のように。
向かう視線の先には同様に構える相手の姿。
そこに言葉は無く、言葉は要らない。必要なのは眼前の敵を打ち砕く力と意思だけあればいい。
――風が吹いていた。
全身を駆け巡るのは未だに不思議な感じを覚える、魔力の奔流。
それに応えるようにデバイスの内部機構が火花を散らす。
記憶領域に納められた魔法理論の数々、その中にある最も最適な術式を選択→実行。
行われていく行為に淀みはなく、全てが予定調和。
それは、いつしか眼に見える形で顕現していた。
ぼんやりと身体を覆う藍色に染まった蛍火のような光。
暖かなその光によって、指先に至るまでの感覚が鋭敏に感じ取れる。
空気は張り詰め、ビリビリとした緊迫感を如実に伝えるほど。
そしてそこに吹いた一陣の強い風が―――トリガーを、引いた。
うん。無理でした。
勝てるわけないよ。恐るべしシューティングアーツ。
「いだだだだだだ!!!」
<このヘタレヘタレヘタレヘタレーッ!>
「な、精一杯やった俺になんという暴言を!」
<煩い黙れ、この恒久的ヘタレ! 私を使っておきながらありえないだろこのファックメン! ってか初手から逃げるなあッ>
「う、うううううううっさいわ! 不良品ポンコツ! 大体バルディッシュなんてたいそーな名前のくせになんでブーツ型なんだよ!?」
<仕様です♪>
「そんな仕様捨ててしまえっ」
まあぶっちゃけ、師匠と鍛錬と証した模擬戦という名のワンサイドゲームをやっていたわけだが……あれだね! 魔導師って人間じゃないね!!!
自分もそんな世界に片足突っ込んでるのかと思うと全力でごめんなさいしたいくらいだが、俺には他に選択肢はない。
あとはもうバッドorデッドエンド直行の選択肢しか残っていないのだ。
あの髭中将がなんだが怪しいくらいに便宜図ってくれてるがそれでも武装隊で働かにゃならんのは変わらない。
……うう。やだなあ、逃げたいなあ。戦いなんてしたくないよぅ。このまま家政夫やって一生をおえてもいいから、勘弁してもらえないかなあ……。
しかし現実は無常である。それをまざまざと実感させられた出来事がつい先日あったのだ。
そう、管理局発行の局員カードが届いたのだorz
実際に働く日まではまだ日数あるが、それでも俺に現実を知らしめるには十分すぎる出来事だった。
まあ、それも髭のおかげで大分便宜をはかってはくれているようだけど。
でも素直に喜べない。
目が。あの時のヤツの、まるで発情期の獣のような目が脳裏にチラつくんだよぉぉぉおおおおお!?
怖いです 裏の知れない 親切心
「んー。筋はまあそれなりだけど、才能はないわね」
「直球!? 師匠もセメントですね随分と!」
「だってホントのことだし」
「いやせめてオブラートに包んでください! 傷つきますよ俺でも!?」
「さーて、どうしようかしら。デバイスに合わせて蹴撃系をメインかな。才能無いからやっぱり少しは絞らないと」
「また才能無いって言ったああああああ!?」
そんなことあるごとにいわないでください……。
いかに事実とはいえキッツイっす(涙)
うう。異世界に飛ばされるくらいなんだからこう、何か特別な才能に目覚めたりとかそういう素敵イベントがあったりするんじゃないのか!? 普通!?
<ヘタレマスター、現実を見ましょうね?>
「さ。続き始めるわよー」
鬼かあんたらぁああああ!?
CLOSE MORE△
重心は低く。それはあたかも獲物を狩る獣のように。
向かう視線の先には同様に構える相手の姿。
そこに言葉は無く、言葉は要らない。必要なのは眼前の敵を打ち砕く力と意思だけあればいい。
――風が吹いていた。
全身を駆け巡るのは未だに不思議な感じを覚える、魔力の奔流。
それに応えるようにデバイスの内部機構が火花を散らす。
記憶領域に納められた魔法理論の数々、その中にある最も最適な術式を選択→実行。
行われていく行為に淀みはなく、全てが予定調和。
それは、いつしか眼に見える形で顕現していた。
ぼんやりと身体を覆う藍色に染まった蛍火のような光。
暖かなその光によって、指先に至るまでの感覚が鋭敏に感じ取れる。
空気は張り詰め、ビリビリとした緊迫感を如実に伝えるほど。
そしてそこに吹いた一陣の強い風が―――トリガーを、引いた。
うん。無理でした。
勝てるわけないよ。恐るべしシューティングアーツ。
「いだだだだだだ!!!」
<このヘタレヘタレヘタレヘタレーッ!>
「な、精一杯やった俺になんという暴言を!」
<煩い黙れ、この恒久的ヘタレ! 私を使っておきながらありえないだろこのファックメン! ってか初手から逃げるなあッ>
「う、うううううううっさいわ! 不良品ポンコツ! 大体バルディッシュなんてたいそーな名前のくせになんでブーツ型なんだよ!?」
<仕様です♪>
「そんな仕様捨ててしまえっ」
まあぶっちゃけ、師匠と鍛錬と証した模擬戦という名のワンサイドゲームをやっていたわけだが……あれだね! 魔導師って人間じゃないね!!!
自分もそんな世界に片足突っ込んでるのかと思うと全力でごめんなさいしたいくらいだが、俺には他に選択肢はない。
あとはもうバッドorデッドエンド直行の選択肢しか残っていないのだ。
あの髭中将がなんだが怪しいくらいに便宜図ってくれてるがそれでも武装隊で働かにゃならんのは変わらない。
……うう。やだなあ、逃げたいなあ。戦いなんてしたくないよぅ。このまま家政夫やって一生をおえてもいいから、勘弁してもらえないかなあ……。
しかし現実は無常である。それをまざまざと実感させられた出来事がつい先日あったのだ。
そう、管理局発行の局員カードが届いたのだorz
実際に働く日まではまだ日数あるが、それでも俺に現実を知らしめるには十分すぎる出来事だった。
まあ、それも髭のおかげで大分便宜をはかってはくれているようだけど。
でも素直に喜べない。
目が。あの時のヤツの、まるで発情期の獣のような目が脳裏にチラつくんだよぉぉぉおおおおお!?
怖いです 裏の知れない 親切心
「んー。筋はまあそれなりだけど、才能はないわね」
「直球!? 師匠もセメントですね随分と!」
「だってホントのことだし」
「いやせめてオブラートに包んでください! 傷つきますよ俺でも!?」
「さーて、どうしようかしら。デバイスに合わせて蹴撃系をメインかな。才能無いからやっぱり少しは絞らないと」
「また才能無いって言ったああああああ!?」
そんなことあるごとにいわないでください……。
いかに事実とはいえキッツイっす(涙)
うう。異世界に飛ばされるくらいなんだからこう、何か特別な才能に目覚めたりとかそういう素敵イベントがあったりするんじゃないのか!? 普通!?
<ヘタレマスター、現実を見ましょうね?>
「さ。続き始めるわよー」
鬼かあんたらぁああああ!?
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